
Magic LeapのARデバイスがついに形になる?
2016年にアメリカのAR市場で最も多額の投資を受けた企業、Magic Leap。昨年アメリカでARに投じられた資金の総額は10億7,000万ドルだが、その74%に当たる7億9,300万ドルもの額が消費者向けの製品どころかプロトタイプすら公開していないこのスタートアップ企業に集まった。
Bloombergによれば、このMagic Leapが6ヶ月以内に同社にとって初めてとなるデバイスを出荷する計画を立てているという。
本格的な販売ではなく小規模なグループへの出荷となるようだが、Magic Leapは多額の投資を集めながら何も製品を発表してこなかった。同社がどのような製品を繰り出してくるのか、業界関係者や投資家が注目している。
Magic Leapの製品

Magic Leapのスマートグラス?
Bloombergの情報
今回Bloombergが報じた製品の出荷に関する情報は、この計画に詳しい3名の人物からもたらされたものとされている。公式に発表されたわけではなく、この件に関して広報担当者はコメントしていないことに注意が必要だ。
また、同じくBloombergによれば、シンガポールの投資会社Temasek Holdings Pte.がMagic Leapに対して5億ドル(553億円)の投資を検討している。この投資によってMagic Leapの評価額は60億ドル(6,641億円)近くになるという。もっとも、この情報も公式なものではなく事情に詳しい人物がソースとされている。
投資について、Magic Leapの広報担当者だけでなくTemasek Hodings側もコメントを控えているという。
ヘッドセットの詳細?
Magic Leapの製品がどのようなものになるのかについては、これまでほとんど明かされてこなかった。過去にはBusiness Insiderがスマートグラスらしい図を掲載しており、「Magic Leapのハードウェアを知る人物」によればこれが製品の外観に似ているとのことだ。
ただ、スポークスパーソンは画像が製品を示した図であることを否定している。
信憑性が高めな情報としては、同社のデバイスを試す機会を得た投資家からの情報という形で「ARグラスよりは大きくVRヘッドセットよりは小さい」という話が出ている程度だ。
過去には研究用デバイスのものとされる画像が流出したこともあるが、あのデバイスよりは小型化が進んでいると考えられる。処理を行う本体のサイズは不明だが、ゴーグル部分はかなり小さくなっているのではないだろうか。
今回、Bloombergはデバイスの価格が1,500ドルから2,000ドル(16.6万円から22.1万円)の間だとしている。サイズは以前の情報通り、メガネよりは大きくVRヘッドセットよりは小さいとのことだ。
また、研究用デバイスと違って本体とゴーグル部の接続がワイヤレスになっている。スマートフォン程度の大きさの処理部が、ワイヤレスでゴーグルに情報を転送するという。
価格やデバイスの詳細についても、匿名の人物がソースとされている。
他デバイスとの比較
Magic Leapが公開してきたARのデモ動画は非常に先進的なものだったが、同社がデバイスをリリースできずにいるうちにライバルとなる企業が製品を発表・発売している。
Microsoft HoloLens
マイクロソフトのWindows Mixed RealityヘッドセットはVRヘッドセットの一種として除くとしても、HoloLensは正面から競合するライバル製品だ。ARではなくMRを謳うこのデバイスは、現時点でMagic Leapのデモンストレーションに一番近い体験を実現するデバイスかもしれない。
消費者向けの製品ではなく30万円以上と価格が高いことが難点だが、MR(AR)体験の質は高い。
Meta Meta 2
Meta社のMeta 2は価格・機能面でHoloLensの廉価版とも言えそうなARヘッドセットであり、当然Magic Leapとも競合する。HoloLensに比べるとユーザの操作に対する応答速度が遅めなどの欠点はあるものの、価格が950ドル(10.5万円)と大幅に安い。
一時は出荷が大幅に遅れていたが、最近ではSteamVRへの対応も発表された勢いのあるデバイスだ。
Magic Leap
Magic Leapの製品が1,500ドルから2,000ドルだとすると、ちょうど上の2社の間に割って入る形になる。HoloLensに対しては価格の差で優位に立てるが、Meta 2よりは高いという価格帯になりそうだ。機能面でMeta 2にどれだけ差を付けられるかが消費者の印象を大きく左右するポイントになるだろう。
HoloLensと並ぶ、あるいは越えるようなデバイスであればデモ動画が公開された頃のように再び注目の的となることも考えられる。しかしより安価なMeta 2に劣るとなれば、期待が大きいだけに失望も深いものになってしまう。
また、デバイスのサイズに関してもまだ曖昧な情報しかない。VRヘッドセットに近いサイズなのか、スマートグラスに近い小型デバイスなのかによっても反応が変わってきそうだ。
参照元サイト名:Bloomberg
URL:https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-09-14/singapore-s-temasek-is-said-to-mull-investing-in-magic-leap
参照元サイト名:Road To VR
URL:https://www.roadtovr.com/report-magic-leap-reach-6b-valuation-first-device-shipping-6-months-small-group-users/
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